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「持続可能な社会」へ パイオニアの一歩を! 
 
やさしい社会国際フォーラム2016 開催 《10月29日》 U 

救命ボートは地方だから出せる!


内藤正明氏(京都大学名誉教授)  国立環境研究所等歴任後、現在滋賀県琵琶湖環境科学研究センター長、NPO法人循環共生社会システム研究所代表。京都・滋賀・兵庫で環境政策に関わる。鈴鹿カルチャーステーション名誉館長。

ドイツと鈴鹿の事例を受けて、内藤氏の総括へと移った。

「なぜ持続可能な社会なのか、なぜ自分達でコミュニティを作ることなのか。」

内藤氏は研究者の立場で、国の環境庁に20年携わり、現在も関西で環境政策に関わっている。国や政府は、経済発展を最優先に考え、環境への配慮は二の次であるといい、内藤氏は苦言を呈する。

「こういう場に集まる人たちは持続可能な社会と言えば、前向きにやろうという人たちです。しかし、世の中の大半は経済優先の考えを持っている。そういう人たちをどう説得できるか。論理的に説明できるかなんです。そこが学者としての務めです」という。

そういった論争に明け暮れてきたエピソードを露わにしながら本音をぶつける。
「いまの社会はタイタニック号に乗ってまだ大丈夫だと言って宴会しているようなものだ。氷山にぶつかったら3等客席から沈んでしまう。今のうちに救命ボートを出しておかないといけない。だから地域に作るしかないんです。それぞれで作らないと。私もいざという時に助けてもらえるように協力しているんです」  本音トークに会場も大いに湧いた。


会場からの質問に答えて






経済と環境のバランスはとれる?

「環境と経済のバランス方法を知りたい」という質問に、内藤氏は「この二つは永遠のライバルです。生態系や環境や将来世代は何も文句を言わない自由材を市場経済は食いつぶしてしまう。バランスがとれることは在りえない。ただ、長い歴史の中では、倫理があっての経済だった。今またそこに戻ろうという反省が経済学者の間にある。アズワンではそういった経済の転換を試みている。決して特殊な例ではない。」




住民の意見は一致するのか?


「ドイツの事例で、住宅を建てるときに、どう意見が一致するのか?
どのようにしているのか?」
ハーン氏は。
「様々な分野について、どんな建物にするのか、どんな材料にするのか、
どんなエネルギーを使うのか、車はどうするのか、オープンスペースは
どうするのか、何度も何度もたくさんの話し合いをします。

何でもみんなで集まって、話し合って、計画していく。
それがうまくいくのか?ということですが、
その話しあいの場がいろいろなことを学ぶ場になっています。

建物のこと、環境のこと、街づくりのことを知ることができて、
それを楽しんでいる。産業革命以前の、昔は知っていたことが今は
失われている。それを学ぶことができるので楽しんでいる。
お金のことでいえば、普通の住宅よりも、費用が安くつく。

このことは多数派ではない。
しかし、ベルリンでは最初は0%だったが10%に増えた。
チューリンゲンはそういう住宅づくりが80%になった。
増えつつある。」

行政の立場から

  

鈴鹿市議会議員の市川哲夫氏 (写真左)。
「緑豊かな山、綺麗な川を守ります」と私の名刺にもあり、ボランティアでゴミ拾いや草刈りを20年続けている。ボランティア活動を持続可能にしていくには課題が多い。今日のお話は私の理想です。

鈴鹿市教育委員会の土嶋氏 (写真中)。
平成32年から学習指導要領が変わる。その先20年30年後を見越した内容を今練っている。子ども達が地域の中でどうやって人と繋がっていくか、そういう力が必要だと思う。それにはいろんな考え方があるということを伝えていきたい。

鈴鹿市議会議員の山中智博氏(写真右)。
南スーダンでは、開発という名目で自衛隊も入ってきたが逆に衛生を悪くし、病気を発生させている。日本に戻ると、自然がなくなっていた。アフリカの子ども達は栄養失調だけど目が輝いていた。むしろ日本の子どもたちの方が大変なことになっているのでは? 今、「食」の問題から見直している。



GEN−Japan


片山弘子氏

最後に主催者であるNPO法人えこびれっじネット日本GEN−Japanの代表・片山弘子氏から、GEN−Japanの活動を紹介し、来春より、ユネスコ認定の教育プログラムがアズワン鈴鹿コミュニティを舞台に開催されることなどを伝えた。


パイオニアの一歩に期待する




「ドイツと日本の違いは何か」という質問に、ハーン氏が「日本の人は政府に任せきりだが、ドイツでは自分たちでやりたいと考えている。ドイツの人たちは中央政府を信じていないが、日本の人たちはまだ信じている」と答えた。会場も苦笑い。

内藤氏は、ドイツ人の女性が一人で黙々と自分の住宅の周囲を緑化していった例や鹿対策を役所に頼らず自分達で動き出した事例を話し、最初の一歩を踏み出す一人になることが始まりであることを強調した。




熱い拍手で国際フォーラム2016を終えた。

記者の感想―――
イギリスのEU離脱もそうだったが、米大統領にトランプ氏が当選するなど、マスコミの前評判とは番狂わせの結果に世界は驚いている。市民の中にある現状への不満の噴出だろうか。これまでとは違う新たな方向へ動き出そうとする鼓動だろうか。
ハーン氏の講演が全国ツアーになったのも、ドイツの事例に関心を寄せる人たちが増えているということでもある。

雁の群れで先頭を飛ぶ鳥は、その位置を交互に替わり合いながら飛ぶという。先頭は風当りが強いからだ。個人の小さな一歩は、もしかすると、お隣さんの道をつくる一歩になっているのかもしれない。みんなで踏み固めていけば、道なき道が拓けるものだ。
何より、そんな道づくりに生きがいを感じている人たちが会場に集まっていた。
皆、やりたいことを自分らしくやっているようで
、生き生きと輝いていた。(いわた)

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