第3回の予定
(ちなみにCO2排出量は年間で
一人あたり10トンだと内藤先生よ
り知らされた。これだけの量だと
わかれば、巷に溢れるデータで
この製品は CO2を何グラム削
減できてすごーい!なんてとて
も言えませんね)
※災害時に備えコミュニティは
どうあったらよいか――
という点で、浅利先生からは、
気力体力のある若者を中心と
してボトムアップで連携してい
くこと。特に普段は役に立たな
くとも、非常時には若者の力が
必要とされると実感されていた。
そして、コミュニティの絆は普
段から欠かせない。その点に
ついては内藤先生から、「街
の縁側としてこの鈴鹿カルチ
ャーステーションを始めたの
もその一つ。気軽に寄ってお
互いの絆を結ぶことが大事
で、いざと言う時のボランティ
アワークにもつながる」
と発言された。
見直そう!ゴミ・食卓・リスク・ご近所・日本人
ダンボールコンポストにも挑戦
第2回エコライフチャレンジセミナー開催 @ A B C 《6月19日》
日本人1人が1日に出すゴミの量は?
@500g A800g B1000g C1200g
「どれだと思いますか?」(上の写真はその時のようす)
第2回エコライフチャレンジセミナーで、ゴミ問題の専門家・浅利先生が参加者に投げかけた問題だ。
正解はBの1000g、一人1キロ。産業廃棄物を含めると12倍の12kgにもなるという。
決してあなどれない数値。浅利先生の研究の一端が講座で紹介された。
33年前から京都市では家庭ゴミ調査を行っており、5年に1度は生ゴミ調査をしている。家庭から出されるゴミを徹底的に分別し仕分ける。結果を見ると1割から3割は、手付かず状態のものがある。近年ゴミは減少傾向にあるが、その中身を見るとまだまだだ。食べられるのにゴミになっている食品の損失額(11.1兆円)が、国内の農業・水産業の生産額(12.4兆円)とほぼ等しいという数値も出ている。これには会場もどよめいた。
こんな実態を聞くと、私たちの社会は、本当にどうなっているの?これでいいの?と突きつけられる。
段ボールコンポストを推奨する楠部先生は、このことを「人任せにして自分らが手を付けられない状態」と指摘する。
ゴミも決まった曜日に出せば収集され目の前から消え、トイレも下水で流れていく。当たり前のようだが、こうしたおかげで、快適さや清潔さが一見保たれたかにみえる。しかし、一度、地震などでそのシステムが壊れると、どうなるか。
その見直しを突然迫られたのが、3月11日に起こった東日本大震災だ。この大災害が問いかける様々な問題を、今回のセミナーでは取り上げた。
瓦礫はゴミではない
最初は、ボランティア活動で参加した杉本氏の体験報告から――
杉本氏は、5月13日から10日間、岩手県山田町に赴き、瓦礫の撤去作業、支援物資の運搬や仕分けに従事した。海岸沿いには何キロにも渡り瓦礫が続いている。現場に着くと「瓦礫の山をゴミと思ってはダメです。被災者さんの財産であり、家財道具も思い出の詰まったもの。ゴミ捨て場に運ぶまではゴミではない。被災者の気持ちに寄り添うことが大事です」と案内される。余震もあった。被災した車の爆発も頻繁に起こる。支援物資がダンボールのまま山積みされ、人手不足で仕分けが滞っている。そんな問題が山積している。
瓦礫撤去ではダンプの運転をしていた30代の若者と話をした。
「彼は、漁師で5千万の借金をし船を買ったが、それがパーになってしまい、家も全壊した。今は生活再建のため運転手をしているがいずれ漁師をしたいという。彼の一生懸命な姿に勇気をもらった。彼のことを話すと涙が出てくる」
杉本氏は自殺対策にも取り組んでいる。
「5月は全国の自殺者が昨年より500人ほど増えている。今年の自殺者の増加が懸念される」
現地のスライドを映しながらその体験が語られた。
災害廃棄物も分別処理
続いて災害廃棄物対策のために2週間に渡って現地調査に赴いた浅利美鈴先生による報告。
「アスファルトは剥がされ、トレーラーは潰され、家屋はミンチ状態、日本では処理技術のない船舶が散乱する。30年分のゴミが一気に出たという状況。どう分別し処分するか、その対策とマニュアル化を手がけた。出来る限り分別して処理をする。海外の方には驚きの取り組みです」
家屋の木材はチップ化し復興ボードに変え仮設住宅の資材にするなど、既に行われている取り組みも報告された。
今感じていることとして――
「災害時のボトムアップで連携していくことの重要性(※)、基礎体力や基礎的知見がいかに大事かを実感した。そして、普段いかに過剰な消費やストックをしているかを思い知った。支援物資も使い物にならず、処分する問題もある。
一番やっかいなのは原発問題。モンスター化している。当初、域外処理の可能性を探ろうと、関東関西に焼却埋め立ての可能量を聞き、データが集まっているが、その調査をしただけで、受け入れ拒否の反対・署名運動が起こった。福島からゴミを絶対もってくるな、と。これは差別にちかい状態。放射線廃棄物は存在しないという中で、われわれは生きてきたが、そのツケが一気に来ている。リスクコミュニケーションをしてこなかったツケだ。この数ヶ月でしようとしても無理」
今も続く原発問題はますます大きくなっている。
大規模化の弱点
続いて内藤正明先生からは、マスコミであまり報道されていない下水処理の問題が指摘される。
先生の友人で、水問題の第一人者という東北大の教授からの情報を紹介。
水道は復興したが、下水処理場は当分壊滅状態にある。復興には長期間かかる。その教授は、自宅に浄化槽を作り、自前の排水処理をした。ところが法律上、処理水は下水にしか流せない。今の状況で下水に流したところで、処理できる訳ではない、と憤慨したというエピソード。
これらの問題点は、効率化という理屈で大規模化してきたことにある。ゴミ処理場、下水処理場、そして原発しかり。合併浄化槽を持つ家庭では今回の震災でもほとんど問題は起きなかった。大規模になると、パイプ一つ破損しただけで機能しなくなる。小規模なものにすべきだと昔から主張してきている。
「大規模化の一番の理由は、これで儲かる人たちがいるからです。ここを根底から考え直さないといけない。大規模化、効率化、最先端技術、スケールメリットという理屈で作られてきたが、こうした技術は、脆く、不安定だ。本気で考え直さないければいけない」と訴えた。
更に、『今回の東日本大震災が問いかけるもの』と題する6ページの論文も参加者に配られた。その中で、 原発推進派の主張を取り上げ、問題提起する。
「推進派は、 『東電を潰せば株主の資産が減る』と発言している。その根底には、『巨大産業界の発展こそが日本の発展である』という思いがあるからで、その考え方を問い直し、社会とは何か、極めて根源的な問いから議論する必要がある」
日本人の倫理観を世界に
世界からも注目された日本人のとった行動についても触れる。
ハーバード大学の教授が、殺し合いも盗みもない日本人の行動に、「人類の新たな倫理観がそこにある」と述べていること。イスラム教の聖職者が、「日本人の行動様式こそが、イスラム教の教えで、ムスリムでもない日本人に見事に受け継がれている」と言ったこと。
などを挙げ、これからの日本が目指すとしたら経済大国ではなく倫理大国として世界制覇すれば素晴らしいと結んだ。
段ボールコンポストで家庭ゴミを知ろう
全部人に預けてしまい、自分の手で関われなくなっているところに問題あり、と指摘するのが楠部先生。家庭から出る生ゴミを家庭で処理するという段ボール製のコンポストを紹介した楠部先生の考えは、「コンポストの目的は、如何に家の中に無駄なものがあるかよく分かる。食べられるものがゴミになっていたり。見ることで減らしていく一歩になる」というもの。
実際のやり方やコンポストのつくり方は午後の時間で紹介した。
先生たちの討論を受けて、参加者からもテーマを募り、ワールドカフェへと移った。
今回のキーワードは「見直す」
そこで出てきたテーマは、「食卓を見直す」「ゴミや下水を見直す」「近所づきあいを見直す」「リスクコミュニケーションを見直す」「日本人を見直す」。
テーブルにそれぞれ分かれてお茶を飲みながら白熱した議論に入っていった。
被災地の惨状、講師の熱いトークが、参加者の心とブレイクする。
「〜を見直す」という言葉に、本気になる。
ここからが、チャレンジセミナーの本番だ。
つづく (記事:いわた)
>>ワールドカフェへ
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