トップご挨拶イベントNEWSお知らせレンタルカルチャーエコ街のはたけてっらこや館内アクセス

過去の記事へ |次の記事へ | NEWS一覧へ



第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
次回の予定







原題は“Tombe’s du ciel”

“落ちる”という使い方では、
Ca tombe du ciell 、
天から降ってきた、
という 言葉がある。
これは
“宝くじに当たった”
という意味に使う。
ああ、いいタイミン グだ、
という時に使う日常会話だ
そうだ。



























映画の舞台、フランスの
シャルル・ド・ゴール国際空港

国境の隙間に落ちてしまった人たち @ 

映画『パリ空港の人々』(1993年・フランス)

映画を通してフランスの歴史を知る 第5回 《4月16日》




          講師の大嶋優さん(関西学院大学フランス語講師)

“空から落ちた人たち”

「『パリ空港の人々』というタイトルを聞いて、どんな映画だと想像しますか?
この映画の原題は、“Tombe’s du ciel”
直訳すると、“空から落ちた人たち”という意味になります」
タイトルの話題からだ。

「映画のタイトルというのは、とても大事です。
ゴダールの『勝手にしやがれ』、これは有名ですが見られた方いますか?」
「あ〜2人だけですか」(大嶋さん拍子抜け)。
「直訳すると、“息が切れて”という意味、死ぬ間際のことです」

「では、ジャン・ギャバンの『望郷』という映画は?」(会場無反応) 
「原題は『ペペルモコ』。これは主人公の名前です。
こんなタイトルをつけても日本では誰も分かりません」

大嶋さんの期待を裏切る無教養な生徒たち。
それでも一心に伝え続ける果敢な講師。


トランジットは無国籍地帯

映画の舞台は、フランスのシャルル・ド・ゴール空港。
パスポートを盗まれて立ち往生する主人公の話だ。
キーワードは“トランジット”その意味について解説が始まる。

「 Transit(トランジット)、“一時寄港”という意味です。
イタリア語でトランシート、ラテン語のトランシトゥスからきている。輸送、通過が語源です」
「日本からパスポートを持って審査をパスして出ると、そこがトランジットゾーンです。
そして、フランスのパスポートの審査を受けて入国するまで。
だから飛行機の中もトランジットゾーン。
こういう空間があるんですね。どこの国にも属さない無国籍地帯が」
みんなにもよく分かるように、図解で示す。(下記の図参照)


映画の中にご当人が登場してる?

まーなんとも摩訶不思議な話だ。
日本にいても、出国手続きを済ませてゲートを出ると
そこは日本であって日本ではない領域らしい。
「入国する時は、自分の身分を証明するものがないとその国に入れない。
それがパスポートです」
「実は、このトランジットゾーンで18年間生きていたイラン人がいるんです」

映画は、そのイラン人をモデルにして作られたという。
パリのシャルルド空港で18年間生活していたそうだ。
トム・ハンクス主演、スピルバーグ監督の『ターミナル』もやはり
同一人物をモデルにした作品とのこと。

「そのイラン人が映画の中に実際に登場しています」と、そのシーンをピックアップして最初に映す。(下記の写真、立っている女性の右の人)

映画によって国を動かすフランスの魅力

このように、フランスでは空港の一角に、様々な事情で入国も出来ず、母国にも帰れず、行き場を失った人たちが実際に暮らしているという。

映画の制作は1993年。その前年に、欧州人権裁判所はトランジットの住人の人権について、無関心なフランス政府に勧告を出した。それが映画の背景になっている。

「フランスという国は、このように映画によって政府を動かし、また、学生のデモによって政府を動かす国です。その自由さ、いい加減さ。人に対して無関心、しかし関与する、迫害する。一方、連帯する。これはフランスの魅力ですね」。



「映画は、トランジットゾーンで、たくましく、したたかに、生きる人たちを描いています」


>>『パリ空港の人々』ストーリーは


   @  A   B   次のページに進む   


このページのトップへ
since 14.Jun.2010  Copyright SCS All right reserved.