江藤さんのひょうたん
「ひょうたんものがたり」を語るには、この人の存在なくしては始まりません。
以前職場でお世話になった江藤さんです。
酪農一筋に歩んで来られた気骨のある仕事人、職人肌でもあります。
数年前から瓢箪工芸に目覚め、酪農場の一角に瓢箪の栽培をはじめました。
大きな瓢箪を育て、綺麗に加工し、丹念な塗装を施して、見事な工芸品を作っています。
そんな江藤さんが、カルチャーステーション始動の年(3年前)、手に載るほどの小さな瓢箪を袋いっぱいに持ってきてくれたのです。50個程はあったでしょうか
。
こんなかんじのもの(上の写真)。
タダで置いていかれたので、有り難く頂きました。
しかし、この時点で、僕は、“瓢箪”の価値やその成り立ちについては、まったくの無知でした。
カルチャーステーションがスタートし、僕はアートスクールを開くことになります。
その時考えたのが、瓢箪を使ったアート体験です。
「そうだ! この瓢箪を題材にアートを楽しんでもらおう!」
という、まったく軽率な思いつきでした。
早速、自分でも参考作品を作ろうと瓢箪の絵付けを試みます。妻にも協力を仰ぎました。
上の写真がそれです。
表面が丸いため曲面に絵を描くのは少々難儀します。
「少し手こずるくらいがかえっていい!集中力も必要だ、これはなかなか面白いゾ!」
と自分自身が体感しました。
僕の方は、この年辰年だったので、龍の瓢箪に仕立てています。
妻は、瓢箪の形に合わせて、キャラクターをデザインしました。ハクション大魔王のアクビちゃんみたいですね。
夫婦で向かい合っての制作もなかなかおつなものでして…
(真ん中は、ロシアのマトリョーシカのイメージで僕が作ったものです)
「話しながらも出来るし、気軽にアートに触れられる、これはアート体験にもってこいの題材だ」
と思いを強くしました。
ところが、妻が、
「大人でもこんなに難儀するんだから、子どもには難しいよ」という助言。
妻の方は、長らく子どもお絵かき教室を開いていて、経験も豊富です。
確かに、細かく丁寧に描こうと思えば、子どもには難しいかもしれません。
韓国の高校生たちに体験してもらった時の様子が、以前ニュースで紹介しているので、
覗いてみてください。
→ サンマール高校生アート体験 (このページに戻る時は、ブラウザをリターンしてね)
高校生たちは、とても丁寧に制作してくれました。
それぞれの気持ちや表現したいものを形に出来たようです。
上の写真は小学生の作品。
瓢箪はその形状だけでユニークです。
ひょうきんなその格好からデザインの発想も広がります。
写真のように、装飾を施すだけで、立派なアートに変身してしまう。
何もしなくても自然が作り出した立派な造形物ですから。
描き方や一つの型を習おうとすると、技術の習得に時間もかかります。
それも一つの道であり、技術を極めた作品は素晴らしいものです。
しかし、アートの面白い点は、何でもOKというところにあります。
技術がなくても、その時、その場の自分に最も適した表現があるわけです。
赤ちゃんが始めて言葉を発した時、「ア!」とか「マーマ!」とか、
それも一つの表現とすれば、
そんな一言でも親御さんにとっては感動です。これって何故でしょう?
(その一声を発するまでの、言葉を聞くという長い時間の蓄積があるからでしょうが)
たとえ、拙い表現でも、その子にとっての最高なら、素晴らしいアートではないでしょうか。
こちらが、型を持って見ないことです。
これなら小さなお子さんにも自由に描けます。
子どもの作品を見てそんなことを思いました。
アート体験として開催した「文化体験まつり」の様子を次に紹介しています。
→ 文化体験まつりアート体験12月1日
そんな訳でアート体験は、とても好評でした。
それぞれお気に入りのものを完成させ、達成感と満足感を味わったようです。
思い思いに描いたものを、ラッカーで艶を出し、組紐を巻くと、可愛いアイテムにもなりますね。
三つ揃えば三拍(瓢)子、六つ揃えば無病(瓢)息災と、縁起物としても親しまれて来ましたから。
と、まあ、こんなふうに調子に乗って、江藤さんからもらった瓢箪をひょういひょいと使っていくと、
あることに気づきます。
「そうだ、このまま使っていくと、来年使う瓢箪がなくなってしまうゾ!」
さあ、大変!
しかし、ここでも、この窮地を救ってくれた人が現れました。
続きは、また次回をお楽しみに
。
つづく (2014/4/24 絵と文 いわたたかし)
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