映画を通して
フランスの歴史を知る
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
次回の予定
『ヴェルサンジェトリクス』
DVDのパッケージ。
日本語版では『グレート・
ウォーリアーズ』というタイトル
がついている。「ヴェルサン
ジェトリクス」と言っても日本
では知られてないので。
『ジャンヌダルク』のシーン
カトリックの洗礼を受ける
様子。額に聖油を施す。
『王は踊る』のシーン
ルイ14世の幼少時代。
『王は踊る』のシーン
フランスの歴史を映画で知る
大嶋優さんのカルチャーカフェ開催 《11月20日》
日本では、坂本龍馬がブームとなっているが、歴史を変えた英雄として今の時代に脚光を浴びているのだろう。歴史の面白さは、時代や社会がどんな変遷を辿り、それが今日にどう重なるのか、そこに関わる人物を通して見る時、とても好奇心を駆り立てる。
さて、話はフランスの歴史だ。11月20日夜、鈴鹿カルチャーステーションで「映画を通してフランスの歴史を知る」という講座が開かれた。講師は、大嶋優さん(関西学院大学フランス語講師で翻訳家)。趣味が映画鑑賞だそうで、大嶋さんが数々見てきたフランス映画を題材に、もっとも興味深いワンシーンを上映しながら、熱いトークが展開された。
歴史というから古典映画でも見るのかと思いきや、現代の監督が、新しい解釈で創り上げた最新版の映画だった。しかも、フランスの歴史の節目を映画化した作品で、これを見たら、歴史が分かるというものだ。
一つ目は、『ヴェルサンジェトリクス』。フランス人なら誰もが知るという最初の英雄だ。BC52年、フランス地方を割拠する部族を初めて統一し、古代ローマのシーザーと戦う。しかし、子どもや女を助けるために自ら剣を置き、ローマに服従し処刑となってしまう。これを機に、フランスには、ローマ人が入り、カトリックが広がり、ラテン語が使われていく。
次の映画は『ジャンヌ・ダルク』。百年戦争下に救世主として登場する英雄を、少女時代から描いた作品。英国軍に村を焼き払われ、ジャンヌの姉が虐殺されるシーンは、身が凍りつく。つい引き込まれ、続きを見たくなるが、上映会ではないので講座ではそこまで。
シャルル7世がカトリックの洗礼を受けるシーンがある。洗礼に使われる聖油は、代々継承されてきた由緒あるもの。ところが油が乾いてもうない。司祭は何食わぬ顔でそのへんの油を洗礼壺にいれる。カトリック信仰の強いフランス人にとっては不謹慎な場面だろうが、笑ってしまう。
3本目の映画は、『王は踊る』。17世紀のルイ14世と音楽家リュリを描いた作品。ルイ14世の言葉で「朕は国家なり」という日本語訳があるが、フランス語を直訳すると「国家、それは私だ」という意味になるそうだ。こんな解釈の違いを知るだけでも別のルイ14世の人物像が浮かんでくる気がする。
さて、講座は、あと2作品、『フランス革命』『ナポレオン』を取り上げる予定だったが、大嶋さんの時間を忘れるほどの熱弁ぶりで時間切れとなってしまった。
しかし、参加者からの強い要望で、続きをまた近いうちに開催することとなり散会。
かくいう私も、次回作をとても期待している。
歴史が動く、時代が変わる、という時の時代背景やそこに登場する人間像、そういうものを、今の私たちが、今の感覚で、見つめることが、面白い。今の時代が投影され、反射すると思うから。だから、私たちが今どうあるべきか、進むべきかを見つめなおす材料となる。
今回をお見逃した方へ、是非次回をお楽しみに。
映画と歴史のエッセンスが楽しめるはず。(いわた)