「組織化とは、結局、責任が発生したときに、誰が負うか、という問題。組織が責任を負い、個人は責任をとらないシステムではないか」といいます。
水俣病で国と戦った緒方正人さんの「一人の『個』に帰りたい」という言葉を引用し、個として生きることの大切さを強調しました。
そんな近藤先生が出会ったのが、インドにあるエコビレッジオーロヴィル(Auroville)です。
「インドにエコヴィレッジがあることにまず驚いた。更に驚いたのが、組織がない、と言われたことだ。リーダーはいるが、権力はない。計画もないという。それで何度も通うようになった」
「組織化するなと明言している。制度を作ってしまうと、人間はそれに使われる」
日本人でオーロヴィルに暮らしている人もいます。
オーロヴィルの思想や暮らし、そこでの様子などを紹介しました。
◆アズワンコミュニティの事例発表
坂井和貴氏(一般社団法事人・鈴鹿カルチャーステーション代表理事)。
続いて、鈴鹿カルチャーステーションの坂井さんから、鈴鹿で試みる「アズワンコミュニティ」の実践発表です。
「社会って何だろう? 明治以前は、“社会”という言葉はなかった。福澤諭吉は、西洋のその言葉を“人間交際”と訳した。それが今では、人から離れたものになっている。
社会を人と人とのつながりと見た時、社会がよくなるとはどういうことだろうか?便利になったり道路や建物が出来たりと社会が発展したと思っても、人と人のつながりがよくならなかったら、社会がよくなったとはいえないのでは?」と投げかけます。
「持続可能な社会というとき、人と人のつながりが持続していくものでなければ。何かあったら別れたり、離れたりでは続かない。それには、お互いが話し合える状態になって、話し合えれば、いろんな問題も解決していくのではないかと思う」と結びました。
3人の話が終わり、会場から熱い拍手が贈られます。
◆ディスカッション
後半は、会場をカフェスペースに移して、お茶やお菓子を頂きながら会場との質疑応答にはいります。
「講師の皆さんはお水でお願いします」と冷やかす司会の志村さん。
和やかな雰囲気の中、講師も、本音か本気か、冗談か、笑いを誘い、会場も大いに湧きました。
「美し国おこし三重」地域担当プロデューサーの志村和宏氏
会場から、熊倉先生に、現在の「Impact Hub Kyouto」の具体的な活動についてお聞きしたいと質問。
「先ほど、その点の紹介を忘れていました。杜撰でした」と一言、現在の課題についても言及します。
「 実際、広い場所です。家賃がかかる。ボランティアと雇用者とで運営しているが、お金が絡むと、そこに雇用関係が生まれる。決して理想的にうまく言っている訳ではない。東京でやって、京都でやろうと、志をもって始めたが、実際やってみると、運営面でいろいろと問題が出てくる。組織を回していくことが先行してしまい、人間関係が崩れてしまうという問題もある」。
「維持・運営という点では鈴鹿カルチャーステーションではどうでしょうか?」(司会)
「一人で悩んでもしょうがないので、周りと相談してやっている。だから暗くならない。
検討しながら、ここでやれることをやっている。
でも、いつ無くなるか、わからない。無理だと判断したら、切り替えるし、あまり維持しようとも思ってないので、
皆さん、これが最後だと思って下さい。ころころ変わると思うので、今日の姿は今日だけです」(坂井)
(この辺の運営やあり方に、アズワンコミュニティの秘密がありそうでした)
更に、会場から質問が出ます。
「“個として生きる”というお話がありましたが、先生自身はどのようにお考えですか?」
宮本さんにもその質問が向けられます。
「美まし国三重」総合プロデューサーの宮本倫明氏
「『美まし国・三重』は、グループ活動を応援するという活動で、
社会実験的な取り組みを、三重県から相談があり、やっている事業の一つです。
完璧な民主主義はどこにもない。そこで、個々のみんなの意識が変わることで補完できないかと、その実験的な試みです。グループを組んで、地域をなんとかしたい。みんながみんなをサポートで出来る仕組み。お互いが融通し合うことで、地の力を強くしようということです。
個人ってどこまでが個人なのか、わからなくなる。
生きるってことは自分は、何かによって成り立っていることだ。コミュニティだったり、家族だったり、太いパイプで周囲とつながっているから個が成り立っている。赤ちゃんが母親と紐帯でつながっている。そのへその緒を切っても、周囲とつながっているのが個のような気がする」
◆ワールドカフェ
講師とのディスカッションが終わると、参加者どうしのワールドカフェに。
テーブルを囲んで、少人数で、お互いを知り合う場です。20分くらいでシャッフルして、また別のメンバーと顔を合わせます。
今回一人一人に配られたプログラムには、参加者名簿が載っていました。
個人名、グループ名、プロフィールが紹介されています。
ワールドカフェでは、その名簿を見ながら、互いの活動やお互い自身を知り合い、課題を共有し、交流の場になりました。
「人と人とが紡ぎ出す“やさしい社会”へ」の一端が垣間見れたのではなかったでしょうか。新たな繋がりや出会いが生まれるコミュニティ・スペースとも言えるでしょうか。
参加者は、各地で積極的に活動されている方々ばかりで、そういった人たちが集ったということも、今回のイベントの大きな成功だったように感じます。
イベント主催者「美し国おこし・三重」ご縁づくり交流会の意図が見事に実現していたように肌で感じました。参加者の皆様、講師の先生、そして実行委員会の方々お疲れ様でした。 (記事:いわた)
鈴鹿カルチャーステーションは、元気な地域づくり、一人ひとりの活動を応援しています。
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