トップご挨拶イベントNEWSお知らせレンタルカルチャーエコ街のはたけてっらこや館内アクセス

過去の記事へ |次の記事へ | NEWS一覧へ



第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
次回の予定



















スクリーン上の ロダン



ロダンのアドバイスを受けるが…
ロダン「体には命がある」 「面ではなく立
体で考えるんだ」 「君には知性があり心
で形を造る。ただし技術がまだだ」
カミーユ「教えも助言もいりません。
生きた課題に挑みたい」
とロダンの弟子になることを拒む。


次第に二人は惹かれあう。



ロダンには内縁の妻ローズがいる。
カミーユとの関係に嫉妬する。



カミーユの個展が開催される。
しかし、カミーユの精神状態は正常
ではなくなりつつある。


個展は酷評され、カミーユは自分の作品
をぶち壊す。


































“激情の女性”天才彫刻家の半生 @ A

映画 『カミーユ・クローデル』(1988年、監督ブリュノ・ニュイッテ)

映画を通してフランスの歴史を知る 第14回 《4月14日》 



        講師の大嶋優さん(関西学院大学フランス語講師)

“神の手を持つ男”あるいは“近代彫刻の父”と称されるオーギュスト・ロダン。『地獄の門』『考える人』などの作品で日本の芸術家達にも多大な影響を与えた作家だ。その彼が愛し、彼の芸術にインスピレーションをもたらしたのが、今回の映画の主人公『カミーユ・クローデル』である。
「両雄並び立たず」と大嶋さんが紹介した。女性の天才彫刻家であるカミーユは哀しい人生を辿る。
もし、彼女の彫刻に触れる機会があったなら、その作品から感じ取るものは、哀しすぎる人生の叫びかもしれない。
映画を鑑賞した吉田順一さんのレポートをお読み頂きたい。(いわた)




脳裏に浮かぶカミーユのあの眼

本当にしっかりと映画を観た、という印象を僕は持った。頭のどこか芯の方で、静かな振動が起こっているようなそんな疲れにも似た、しかしそれまでの閉塞的な感覚から解放された後の、一種安堵感みたいなものも入り混じって、見終わった後は不思議な感じだった。

今、僕の手元には大嶋さんが作ってくれた、二人の出会いから別れまでの集約された年表と、映画の中の主な登場人物が書かれた紙が置かれている。

僕は、ロダンという人は、“考える人”を創った彫刻家としてしか知らなかった。
ましてやカミーユ クローデルという女性は、全然知らなかった。

話は前後するけれど、会場に入ると、いつも解説に使うホワイトボードには、“激情の女性”と書かれ、その下には、四人の女性の名前が書かれていた。

“ジャンヌ ダルク”“テロワーニュ メリクール”“アデル ユーゴー”“カミーユ クローデル”火やぶり刑で処刑されたジャンヌ ダルク以外は、皆最後には精神に異常をきたしてしまう。こんな激情の気性を持って生きた女性がフランスにはいたということ,その一端を説明してもらう。

映画は、「カミーユ」を主人公に置いているので、ロダンという人物が少し軽く扱われているかもしれない、と大嶋さんからの説明を聴いていたので、そんな目で映画を見ていたかしれない。確かに映画ではどこに焦点を当てるかで、全然その人物に対する評価も変わって見えてしまうものだなと感じた。

「天才ふたり並び立たず」

初めはなんとかロダンに認めてもらおうと必死になるカミーユ、やがてその才能が認められ、ロダンの“下彫り工“となる。ロダンの子供を身ごもりやがて流産してしまう。
娘の才能を早くから認めていた父親は、娘のロダンの愛人というような暮らしを、認める事が出来ない。そして、カミーユに彼女自身の作品を創るように説得する。ロダンにはロ-ズという内縁の妻がいた。二人とも愛そうとするロダン。しかしカミーユは、選択出来ない(しない)ロダンから距離を置き始める。それと同時にすこしずつ、すこしずつ精神に異常を起こし始めてゆく。

年表から見れば、カミーユがロダンと会いそして別れるまでの期間は、10年。そしてその後発狂の時を迎え精神病院へ入ることになる。

精神が病むということはどうして起こるのだろうか?
もし、カミーユがロダンと一緒になれたとしても、そうならない保証はどこにもない。彼女の気質的なものが原因となったのかもしれない。何も断定できるものはないと思う。ただ、彼女がロダンと出会い二人の天才が熱情で同じ時を過ごした時、この時一体どんなことがそこに起こっていたのだろうか?

たとえ行為はまるで逆のように見えることでも、その人の深奥の真実の声は何を叫んでいたのだろうか?

今、僕の脳裏には映画の一枚のポスターが浮かんでいる。そしてあの眼が。カミーユが病院へ送られてゆくあの時の車の鉄格子の入った後ろ窓からじっと見つめる涙ぐんだ眼が。


(吉田順一)


精神病院に運ばれていくカミーユ


記事は続く>>>「創造の溶鉱炉」からのほとばしり


このページのトップへ

since 14.Jun.2010  Copyright SCS All right reserved.