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中学生コース 抽象画にチャレンジ! こころを形に!

                        2016年2月28日 アートスクール

毎月2回、中学生日曜アートスクールがあります。
つい先日までは、中3のクウヤ君が、飯野高校の実技試験に向けて
鉛筆デッサンを毎週学びに来ていました。そして、お見事合格!
「くうや君おめでとう!」  きっと本番でも思いきっり描けたんじゃないのかな?
毎週2時間集中してやってたからね。

さて、この中学生クラスは、中3のつぐみちゃん、中1のゆうきちゃん、
そして、まだ小6のさくらちゃんがいます。
(みなさん、アートスクール3年生)

今回の課題は、「抽象画を描こう!」です。
最初に、抽象画について簡単な説明をしました。
具象画との違いとか、抽象画の美術史とか、
参考に、カンジンスキー、ポロック、ミロ、ピカソ、マティスなんかの絵も見て
もらいました。それと、金曜アートスクールのしゅうせい君の絵とかもね。
ミロの絵によく似ているので。
そんな絵を中学生たちがどう見たのかは分かりませんが…。

上手いヘタは関係なく、心の中にあるイメージを形にしてみよう!
そんなふうに投げかました。
なので、特にお題はありません。自由に描こうです。



上の写真は、1回目(2月14日)の制作風景です。
そして、2回目の今回、作品が出来上がりました。それが次の絵です。

●ゆうきちゃんの作品



タイトル『感情』(水彩絵具・四つ切サイズ) ゆうき作(中1)

作者のゆうきちゃんに、この絵の意図や思いを聞きました。
まず、右の大きな赤い円形がこころを表しているそうです。
中心が、白っぽいピンクから外側に向かってグラデーションになっていますね。
こんなイメージなんだそうです。
全体を覆う黄色は、心の周辺の色なんだとか。この黄色のタッチは、
ゆうきちゃんには珍しく、筆のかすれがあり、やや粗々しく描いています。
ややもすると、クレヨンで塗ったの?と思えるタッチ。
全体の筆の塗り方も、これまでのゆうきちゃんの作品(ムラなく丁寧に塗る塗り方)
とはちがって、やや荒々しい表情を出しています。

そして、その心から、線が出て、4つの形があります。
一番下はハートの形。ピンク色。愛のようなもの、あるいは、喜びみたいなものかな、
と本人に聴くと、そうだそうです。
その上は燃えている炎です。「これは怒り?」(ぼく) 「そう」(本人)
その上は、「水の滴だね?涙かな?悲しみだね?」(ぼく) 「そう」(本人)

「その上の、まわるい緑色のこれ、何?」(ぼく) 「うーん」(本人)、
本人は首を傾げています。
「なんとなく描いた」そうです。「へー、面白いね。意識しないで描いたんだ」
「何だろうね、この緑のまるは?」と2人で考えました。

ぼくは、この意識なく描いてしまったものをとても面白く思いました。
これこそ、ゆうきちゃんの深層に潜むものが出てきたんだと。(ぼくの勝手な見方です)

「もしかしたら、喜怒哀楽を描いたのかな? だとしたら、この緑の円は、
 楽、だね。楽しいっていう感情かな?」と僕が言うと、
「そうかも」とうなずいていました。
「そっかー、楽の色は緑、自然(草や葉っぱ)の色なんかな?」
とにかく、意識なくなんとなく着けた色だそうです。

そして、次に、そこに描かれている線について聞きました。
「喜」と「怒」は、こころから出るところで繋がっているというのです。
出所は一つで、出方が怒りになったり、愛情になったりするって。(これには感心)
怒りと悲しみは、出たところで繋がっていて、怒りになったり悲しみになったりするとか。
混ざっているとか、そういう感じなんだとか。

「楽」は、また別のところから出ています。

とにかく、ゆうきちゃんの話を聞きながら、ぼくは驚きとわからない感情で
目から涙でした。

この絵を見て、たぶん、「知る人ぞ知る」では、ないでしょうか。
ぼくの中にある、こころのイメージとよく似て、重なっていたので、
もう、口があんぐり空いたまま、ふさがりませんでした。
絵は、こころを表している。
(ゆうきちゃんが自分の内側を一生懸命見て、考えた構図なんだね、きっと)
そして、ゆうきちゃんの明るく、温かい内面の世界がぼくには伝わってきました。

●さくらちゃんの作品



タイトル『明日』(水彩絵具・四つ切サイズ) さくら作(小6)

今日、2回目の最後の時間ぎりぎりまで、しつこく絵具を塗り重ねていました。
まだ乾ききっていない段階で撮影した作品です。

さくらちゃんにも、この作品の意図や思いを聞いてみました。
「タイトルは?」(ぼく) 「あした」(さくら)
「え?あし、た? 足た? 明日?」と、ぼくはバカなことを繰り返し聞きました。
足が描かれているので、「足た」と「明日」をかけているのかと思ったからです。
そんな意図はまったくありませんでした。<(_ _)>

タイトルは「明日(あした)」です。
説明を聞きました。足のある暗い方は、「今日」を表しているそうです。
今日に、足をつけて歩んでいる姿だそうです。どし、どし、とゆっくりと、
足の間から見える、もう一つの世界、明るい世界は、「明日」の世界
だそうです。
今日は、暗い中にいても明日は明るいと、さくらちゃんは思っていました。

ぼくは、もう、込み上げてきてしまいました。
ここからは、ぼくの勝手な空想に過ぎませんが、
この絵は彼女の置かれた環境や立場を表しているんじゃないか。
今日が暗いのは、やはり悲しみでもあります。それは、彼女の中で
暗く感じているのは、今の社会の暗さではないか、と。
学校や、今の社会環境、いろんなニュースからか、今日という日を暗く感じている。
でも、明日は、明るいよ。
そういう世界が彼女の中にはしっかりあるんだなーと思いました。
そして、その明るい明日を、決して、無くしてはいけないし、
曇らせてもいけない。
ぼくは、大人として、子どもの中にある、そういう明るい明日の世界を
守ってやりたい、と思うのです。

その話を、迎えにきていた彼女の親御さんに伝えました。
なぜか、こういうことを話す時は、思いが込み上げてきます。

●つぐみちゃんの作品



『太陽』



『三日月』



『太陽と三日月』(つぐみ作 水彩絵具 四つ切画用紙)

つぐみちゃんは中3。
毎回テーマがあるわけではありませんが、おもむくままに絵を描いています。
今回は、上のような絵を描きました。
補色の色づかいについて何も説明をしたことはありませんが、
つぐみちゃんは、大好きな青とオレンジの色を使って、夜と昼の絵を
同じ一枚の画用紙に描いたのです。
最初からこの構想があったようで、いきなり画用紙を4つに折り、折目をつけて、
描き始めたのです。
この二つの場面が一つになっているのが、ぼくはとても面白いと思いました。
陰陽の世界観を思わせるもので、男女一対、光と影、昼と夜、生と死、作用反作用、
などの二つが一つになっている姿に見えたからです。
そこに太陽と月を配し、補色の青とオレンジで世界をつくっている。
まあ、これもぼくの独善的な見方にしか過ぎませんが、
とても気持ちのよい絵になっている気がします。

子どもたちは、大人以上に、物事の本質を知っているようでなりません。
いや、大人たちも子どもの頃は、いろんなことが分かっていた気がします。
でも、それは、社会では通用しないもの、と片づけられ、
いつの間にか、見えなくさせてしまっているのではないでしょうか。

ぼくは、アートスクールの講師として、そんな子どもの中にある
大事な世界をいつまでも大切にしてやれるように、守っていくことを
ぼくの、本業だと思っています。 (講師:いわたたかし)

次に、作品とこの記事を読んでくれたSCSのOさんの感想を紹介します。
絵の世界観がまたいっそう広がっていきそうです。

●作品と上の記事を読んで…(Oさんより)

 私もこの記事を見ながら、何だか胸が熱くなり涙が出てきました。

 彼女たちは、自分の心をまっすぐに見つめ、そこに見えたイメージをそのまま表して
 いる。
 何かを描こうとして描いているのではなく、内から出てくるものに色や形を与えている
 のでしょう。

 彼女たちの透明なまなざしは、それぞれの心の深奥を通して、人々の間に通底する
 地下水脈みたいなもの(本質?)に向かっているように思います。

 ▼ゆうきちゃんの「感情」
 絵を見た瞬間「ハッ」と息をのむものがあり、彼女の思いを読んで「ウ〜ム」、
 心の中心の白さに目が行ってしまう感じ・・・(その奥には・・・)

 ▼さくらちゃんの「明日」
 足の間に「明日」を見ながら、しっかりした足で「今日」を踏みしめているたくましさが、
 うれしい。(「今」を足の裏でゆっくり味わう)

 ▼つぐみちゃんの「太陽と三日月」
 自分の中の二つの側面を、優劣や強弱をつけることなく、調和させている。夜がある
 から昼があり、昼があるから夜がある。(どちらもあって「私」がある)

以上、Oさんの感想を紹介しました。


アートスクールは
 毎月 第2・第4 水曜日 午後3:30〜5:30 。
 金曜日コースは、毎週金曜日 午後4:30〜6:00 。

中学生コースは、第2・第4日曜日の午前10:00〜12:00(基本的には)
 時々予定が変わるので、中学生コースの今年の予定から確認してください。

 体験教室 随時受付中です。お気軽にどうぞ。

詳しくは→ SCSアートスクール



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