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シンポジウム「地域創生の時代へ」

〜足元からつくろう「やさしい社会」〜を開催 《5月20日》




シンポジウム「地域創生の時代へ〜足元からつくろうやさしい社会=vが5月20日、NPO法人鈴鹿循環共生パーティーの主催とNPO法人循環共生社会システム研究所(KIESS)の共催、
鈴鹿市の後援により、鈴鹿カルチャーステーションで開催された。

今各地で地域創生≠フ取り組みが始まっている。昨年の東日本大震災以降、人と人との絆の大切さが見直され、地域コミュニティへの関心も高まっている。出会いやつながりを求める一方で、絆はシガラミや束縛にもなり得るものだ。新しい関係を築こうと「ゆるつな」(ゆるーいつながり)というスタイルのエコビレッジやシェアハウスなども注目されている。グローバリゼーションからローカリゼーションへという方向転換は、これからの社会のあり方として期待されている。そんな中で、私たち一人ひとりが自分に出来る街づくりを一緒に考えようと、企画されたシンポジウムだ。

各パネラーの発言の概要を簡単にまとめた。


基調講演--「市民がつくる『地域創生の時代』」


内藤正明氏
滋賀県琵琶湖環境科学研究センター センター長。京都大学名誉教授。循環共生社会システム研究所 代表理事。鈴鹿カルチャーステーション館長


「20世紀文明を支えた石油エネルギーは既にオイルピークを迎え石油文明はやがて終焉する。私たちは今後どういう社会を目指すのか選択を迫られている。
先端技術型社会なのか、自然共生型社会か、私は後者を何十年も前から提唱しているが、未だに日本では前者を重視する勢力が幅を効かせている。民主党が政権をとった当時は、かなり後者へ傾いたが今や有耶無耶になってしまった。
自然共生型を体現するモデルが必要で、東近江での取り組みやここ鈴鹿での実践に期待している。
経済政策を巡っては、民主党内にも二つの方向性があり、興味深い。一つは、「グローバル市場に進出し、あくまで成長を追求する」方向。一方は、「成長にこだわらず、幸福を実感できる新しい暮らしを求める」方向だ。どちらに進むか、人の幸福をどこに求めるかが論じられるようになってきた。 」


講演「コミュニティとは何だろうか」


荒田鉄二氏
鳥取環境大学環境学部 准教授。循環共生社会システム研究所 事務局長

「人間は階層性のある社会を形成している。ある人は、家族の一員であると同時に、会社の社員であり、日本社会の一員でもある。個人から見て家族の次に来る階層のものを「コミュニティ」と呼んでいるように思われる。
近年、独居老人の孤独死、困窮家族の餓死などをよく聞く。周囲に人がたくさんいる都会の中で起きている。都会では人との繋がりが失われ、コミュニティの再構築が論じられるようになった。個人の孤立化の背景には、職場や会社に帰属意識を持っている点にある。そのため都市では、生活の場にコミュニティが形成されてこなかった。
日本のムラ社会は内部規範社会で、温かさはあるが、周りの空気を読まなければ暮らせない息苦しさがあった。一方都市は異なるムラ出身の人間が集まる場で、共存するための普遍的ルールを必要とした。ところが日本では都市化の後も、各会社という「ムラ社会」の中で生きてきたため、普遍規範をベースとする都市文化が形成されなかった。そのため退職により所属する「ムラ」を失うと孤立状態に陥ってしまう。

今後のコミュニティ再構築の方向として二つ考えられる。一つは、都会での新たなムラ社会の構築として、100人から150人の内部規範社会を構築すること。もう一つは、普遍規範に基づく新たなコミュニティの構築。この場合は、多くの人が納得する普遍規範を見出さなければならない。」


報告『フクシマとドイツのエネルギーシフトLIGHT FIREプロジェクト』


エクハルト・ハーン氏
循環共生社会システム研究所アドバイザー

「福島の原発事故によってドイツ国民は大きな衝撃を受けた。政府は4週間以内に50%の原発停止を決め、残り50%の原発も10年間で停止していく決定をした。
この政府の大きな決断は、40年にわたる市民の活動があったからだ。

日本が、事故以前は電力の27%を原子力に頼っていた。ドイツも23%だ。しかし、ドイツでは、全電力の20%を既に再生可能エネルギーによるもので、これは市民活動の成果でもある。2000年に再生可能エネルギー法が成立し、個人・団体の発電を可能にし、電力の売却が可能となった。

原発に代わる自然再生エネルギーにどう転換していけるか、ドイツの先端例を紹介したい。
1つは、80戸の集落。外から電力を引いたいたが、集落で電力を作り、外へも売電するようになった。オフィスビルも自家発電によってまかなっている。



次はドイツ南部の2600人の村。ここで1999年に議会と市民で、村を再生可能エネルギーに持っていこうと決断した。10年間で太陽光、水力、風力、バイオマスエネルギーに転換し100%自然エネルギーで賄う計画だった。ところが実際は、その3倍の電力を生むことができた。このエネルギー転換は、農業者が事業者となる革新ともなった。銀行や大手産業からの投資を回避し、自らが自分たちの村へ投資し、利益を還元することになった。農業も自然循環スタイルに変わり、建築資材も地元木材を利用するなど、転換していった。環境教育の場や施設も用意し、子どもから大人までが学んでいる。

これらの例から言えることは、まず地域の市民が自ら参加し、責任をもってはじめること。まず、行動があり、それが政治的な動きとなり、法律の制定となって、広がっていった。
持続可能な発展は、地域主体であること。 」













報告『東近江市“etokoro”の取り組み』


近藤隆二郎
滋賀県立大学環境科学部 准教授 NPO法人五環生活代表理事


「JR能登川駅前の一角にあった古民家を改築して「子民家『etokoro』(エトコロ)」を2011年にオープンさせ、ここを拠点に商店街を元気づけようと活動している。

名前の由来は、絵(芸術)を通して子どもを育むという意味合いの絵と子、そして地域の人たちが協力し合いながら子どもを育むえーところ(良いところ)という思いをこめている。商店街の店主や芸術家がコアメンバーとなり、滋賀県立大の学生も関わり地域のつながりを生んでいる。


昔使っていたという桶風呂。自転車タクシー。アート教室。井戸水の流しそうめんは子どもに大人気。昔懐かしい駄菓子屋や縁日イベント、地域巻き込み型の企画だ。学生たちで開いた「レトロカフェ」も好評だった。貸しスペースとしても利用されている。井戸水を流すだけのクーラーはよく効く。
商店の活性化を経済とはちがう、子どもとアートというチャンネルから図れるのではないかと取り組んでいる。」


etokoroのブログ。


報告『アズワンコミュニティ鈴鹿の紹介』


坂井和貴氏
鈴鹿カルチャーステーション代表理事

最後にアズワンコミュニティ鈴鹿の様子をビデオで紹介した。
このビデオはYouTubeにアップしてあります。こちらをご覧下さい


「ここの特徴は一人ひとり自分自身を高めたり調べたりできるスクールがあることと研究所があること。人に“やさしい社会”は当たり前で、誰もが望んでいると思うが、今の社会では実際にはそうなっていない。そうなるにはどうしたらいいか、まじめにやってみようというのがこのコミュニティだ。
都市で自由に暮らして孤立するか、村でシガラミに縛られるかそのどちらかだ、という話が先ほどあったが、シガラミにもならずに縛られず、孤立せずつながっていく社会をやってみたい。しばらくしたら、内藤先生からも、“やっぱりあったね”、と言ってもらえるようになってみたい。」

アズワンコミュニティ鈴鹿のHPはこちら

参加者の感想より

ドイツでの先端例を聞いて驚きました。既に原発停止を決めて、再生可能エネルギーに取り組んでいるというお話は、日本人の問題意識が薄いと感じがしました。(市内 40代 女性)

コミュニティづくり、環境をテーマに自分の出来ることからやって行き、多くの人たちを巻き込んでみたい。原発・エネルギーの問題は複雑で難しい。危険性の高いもの、廃棄物を子孫に残すものはやはり滅すべきだと思う。近藤先生のお話は大変参考になりました。(西宮市 60代 男性)

自分が新しく選んだ所で毎日充実した感動のある素晴らしい暮らしをしています。まずそこを誰でも好きな時に来てゆっくり過ごせる場にしていきたいと思っていますが、そこからハーンさんの提示されたような村ぐるみ地域ぐるみの再生可能なエネルギーを生み出すような地域にしていくという、心のエネルギーが生まれるにはまだまだです。(三田市 60代 女性)

鈴鹿で熱心な人たちがたくさん集まっていてすごいと思った。これからもますあmす素敵な場所に育っていきそうな兆しを感じました。(滋賀 女性)

ドイツや滋賀の地域の取り組みがわかってよかった。東近江は面白そう。訪ねてみたい。たくさんのエネルギーを消費する生活なので見直しが必要と思います。一人ではどうすることもできないのでやはり地域の方と共に考えていきたい。(市内 30代 女性)

人類持続の要件― 人類の持続にとって必要条件は--「他のいのちに対する共感」であることを信じて活動していきたい。地域再生につながる活動を。(静岡県 60代 男性)

ドイツの事例がもっと聞きたい。反対派の政党からどのように現状の様になっていったか? また、太陽光パネルは今後大量の廃棄物にならないかとても心配です。(滋賀県 40代 女性)

これからの社会、再生可能なエネルギー、持続可能な社会、環境にやさしい社会、人と人とのつながりのある社会、組織にならないコミュニティ社会‥などいろんな提案があり考えさせられました。次代につながっていける社会づくりをしていきたいと思いました。(市内 60代 女性)

(写真:中村聰史 文:いわた)  


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