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taitoru2陽と土からの贈り物

etousan

メールに感激!

「教材用の瓢箪を、この調子で使い続けると足りなくなる!さあ大変!」
というお話が前回までです。
なら、自分で栽培する? うーん、作物を育てたこともないし、困ったなー。
とりあえず、誰かに相談しよう、 と コミュニティの人達へメールで発信してみました。

「誰か、ひょうたんを栽培してくれませんか?」

なんとも、不躾なメールですね。
「コミュニティ」というのは、僕が住む鈴鹿で、人と人とが親しくつながるコミュニティを作ろうとする人達のことです。家族の延長のような間柄でもあり、上のような勝手なお願いでも、言うだけは言えるわけです。
メールでは発信してみたものの、為すすべもなく途方に暮れていました。もともと瓢箪も無かったものだし、その地点に戻れば、困ることも無いわけで…、 と自分に言い聞かせて。

しばらくしてから、
「千成ひょうたんの種を2畝蒔きました」 というメールが入ったのです。

「えー!」 驚きでした。
そのメールを見たとき、僕は飛んで喜びました。
自分では出来ないことをやってくれる人がいる。その感謝感激たるや言葉には言い表せません。

メールは中井さんからでした。
コミュニティで農業を経営するシニア世代のオッサンです。(上の絵)
帽子をかぶり、サングラスをかけ、口ヒゲを蓄えているので、ギャングのボス風で近寄りがたい感じですが、ガタイもいいし、
ご近所さんから「映画監督の山本晋也に似ている」と言われたこともありますが…、
あ〜見た目はね、って感じで。
その見かけとは違って、人情味があるというか、人への気遣いが出来るというか、
そんな繊細な面と、子ども心、遊び心が満載なんです。

純心キャラたち

農場はカルチャーステーションから歩いて5分ほどの、「街のはたけ公園」と呼んでいる場所にあります。そこを開拓する時に、中井さんが最初にしたのは、蓮池作りでした。
ユンボで、農園の一角を掘り出したんです。「凹」文字のような格好に。

「え!何で?」と、思うかもしれません。僕は疑問でした。

出来上がってみると、春にはカキツバタが、夏は白い蓮の花が咲きます。もちろんレンコンも採れる。
そして、こんなことを話していました。
「秋は、土手に植えた萩の花が咲いて、その向こうからお月様が登ってきて、月を愛でながら、熱燗で一杯やって俳句を読みたい」と。
なんともロマンチックというか…、風情がありますよね。
はたけ公園には、果樹園もあり、各所に中井さんの夢が詰まっているようです。

そもそも「ユンボに乗りたい!ユンボで穴を掘りたい!」
というのが、池を掘った動機だと言うから、年を重ねても色あせない純心さには驚きます。

こんな風に、天真爛漫なキャラたちが、ここでコミュニティを作ろうと日々奮闘(?)しているんです。
「てっらこや創造塾」も、周りで支えてくれるコミュニティがあればこそ成り立っているわけで、周囲の大人たちのやさしい空気感に包まれて、子どもたちは、その空気を吸って学び成長している、といえるかもしれません。


贈り物の贈り物

夏が過ぎた頃、中井さんからメールが届きました。
「ひょうたん出来てきたよ。どうしたらいい?」

早速、江藤さんと見に行きました。
支柱が建てられネットが張られ、そこに瓢箪のツルが巻き付き、葉を茂らせて、拳ほどの瓢箪がいくつも実っていました。まだ花から実になりかけの小さな瓢箪もあります。
僕は、メールを打っただけですが、こんなふうになるとは、感慨深く思いました。

中井さんが言います。
「種を蒔いて、ほっとけば出来るから。ほとんど自然が育ててくれる」
つまり、太陽や土や自然の大きさに比べれば、人の手間は微々たるものだという訳です。
作物は自然界からの贈り物だと。スケール感が違います。
出来た瓢箪もその贈り物として受け取りました。

ひょうたん
江藤さんが良さそうなものを選んで収穫し20個ほど持ち帰りました。
この生の瓢箪をどうやって、工芸用の瓢箪にするのか、ここが次の問題です。
やり方を江藤さんに伝授してもらいました。
聞きながら、
「これは、ちょっと大変そうだなー、 いろいろ僕も忙しいし、こんなことやってられるかな…」
心の隅っこで思ったことです。

しばらく、収穫した瓢箪をそのままダンボールに放置していました。
箱を開けてみると、なんと、白いカビが生えています。
「あ、そうか、これは野菜なんだ!」
スイカやキュウリと変わらない野菜なんです。ほっといたらカビも生え、腐ってしまう。
そんなことにも気づかずにいたのでした。
「これは早く加工しないと、このまま腐らせてしまっては、せっかく出来たものも台無しだ」
と、急にやる気になって、瓢箪の加工を始めました。

さて、いざやってみると、なんとも大変な試練がこの後待っていたのです。
続きはまた来週。 つづく
    (2014/5/3 絵と文 アートスクール講師:いわたたかし)

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